にくまん子さんの「泥の女通信」の新作も
今回はクイックジャパンウェブの方で
配信していただいたので、
ほとんど放置プレイ状態のサイトに
なっていて恐縮です。
さて今日は久々に漫画家志望の方向けの
「マンガスキ」を書こうかと思います。
本屋さんで見かけて、シナリオ本フリークの
私として、すぐさま手に取ってレジに
向かいかけたんですが、ちょっと待てよ…
と確認したら「物語の法則」の新書化でやんの。
危うく同じ本を買っちゃうところでしたが、
漫画志望の方は一冊、二冊くらいこの手の
本を読まれることをお勧めします。
いつも言ってますが、本当に参考になりますよ。
シナリオ関係の本は、
翻訳ものが多いので値段も高いですが、
恐らく部数も少ないので、
これはと思ったら買うことをお勧めします。
古本もあんまり出ないし、価格も下がんないです。
フィルムアート社から出てるものが多いんですが
高いですよね、仕方ないんですが。
投資と思って!
(最後の方にこれまで買った本の中で良かったもの、
作家さんから参考になった!という声が
あったものをざっと上げておきます)
年寄の小言めいて恐縮なのですが、
正直、最近はメディアの多様化のせいもあり
マンガの数が増えているのに伴って
編集者の数も増えているのではありますが
色々見聞きしたところだと、
数が増えた分、編集者の玉石混合度も
増しているように思えます。
ぶっちゃけて言えば、勉強不足、
力不足の人が増えてる印象(当社比)。
特にデジタル系。
まあ、どこも編集の経験者足りんよ
と言っているので、訓練のまだ終わらないまま、
戦場へ送り出される新兵のようなもので、
可哀想ではあるのですが、
作家側もそういう人が増えている覚悟の元に
編集者と付き合う覚悟が必要かもしれません。
作家さんにアドバイスをする上では
それを抽象的な言葉でなく、
具体的な言葉に落とし込むことなんかも
とっても大切なんですが
そのためにはやはりマンガ以外で
言葉を磨くことなんかも重要です。
(自分ができてるかは怪しい…)
もちろん、漫画をたくさん読んでいることは
漫画編集者にとっていいことではありますが、
必ずしも必要条件ではないですし、
必要十分条件なんかでは決して
ないんですよ。(と思っています)
何故私がしつこくシナリオ本を勧めるかというと、
大抵の場合、新人の方は、
ストーリーが今一つだったり
構成に難があったりするんですね。
で、私(編集者)があれこれ言うより、
一冊定評のあるシナリオ本を読むほうが
基礎をつくる訳ではいいと思うので
おススメするわけです。
見違えるようにお話が
変わった作家さんもいるので
ものは試し、1冊読んでみてはいかがでしょうか。
あー話が長い!
肝心のおすすめ本は定番中の定番ばっかりです。
・映画を書くためにあなたがしなくてはならないこと シド・フィールドの脚本術
・SAVE THE CATの法則 SAVE THE CATの法則
ウーン、全部フィルムアート社ですね。
この辺でざくっとみてください。フィルムアート社 シナリオ
あとはこれも定番ですが手軽な新書で
大塚英志さんのキャラクター小説の作り方 (星海社 e-SHINSHO)を始めとした一連の著作も。
大塚英志 物語
もっと色々読みたい方には…
映画のフィルム編集者の方たちのインタビューを
集めた本なんかもおススメです。
フィルムのコマを構成する仕事って
どこか漫画に似てる感じがしませんか?
・映像編集の技法 傑作を生み出す編集技師たちの仕事術
・映画もまた編集である――ウォルター・マーチとの対話
それからキャラクターの動かし方に
悩んだ時にはこんな本とか。
こういう本もなかなか面白かったです。
ベストセラーを言葉の使用頻度から
分析した本です。
スティーブン・キングの小説の書き方というか
その物語作りの思考法も役に立ちます。
普段からこういうのを見て
効果的な絵を頭に刻み込むのも。
編集者が映画映画言い過ぎという
話も聞いたりしますが、
何事もようは使いようです。
多くの漫画家志望者の方にもっと
頑張って欲しいのは
お話づくりの力だと思っています。
あと画面構成力というか、
絵の切り取り方。
どういう絵を描けば
最も効果的な演出ができるか。
一流の先生方はネームを
読んでいるだけでうなるものがあります。
もちろんたくさん描きいて
技術的に上手くなることは
重要だと思いますが、
闇雲にやるよりは、
映画関係のいい本を読むことは
決して無駄ならないと思います。
本あり過ぎですが、
まあ、今上手く行ってないという人は
努力をし過ぎてもし過ぎることは
ないと思って頑張ってください。
漫画の神様・手塚治虫先生が
映画をいかにして紙で再現するか
ということに腐心されたことを思えば、
映画から学ぶことは多いです。
良くも悪くも体系化されてますし。
大事なのは、必要なエッセンスが
獲れるものでであれば、映画だろうが
小説だろうがゲームだろうがなんでも食べちゃう
という貪欲性・雑食性と頭の切り替えなのでは
ないでしょうか。
ではまた!